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山田風太郎 [印象に残る作品・作家]

ちくま文庫の忍法帖短篇全集を順番に読んでいる。
かなり昔の作品だが奇想天外な発想に今でもブッとんでしまう。

飄々としたエッセイの数々も印象に深い。
評価の高い明治ものもある(実はまだ読んだことがない)。

そして今年の夏休みには「戦中派不戦日記」をようやく読んだ。
この昭和20年の日記を書いた時点で彼はまだ作家ではない。
まだ単なる若き一医学生に過ぎない。一庶民といっていい。
それだけに作家として名をなしていた高見順の日記などと比べて、
よりリアルな感じする。心に残る作品のひとつだ。

山田風太郎の出身地は但馬地方(兵庫県養父郡)。
私も但馬の出身であり母方の故郷は養父郡なので少し親近感もある。


気がつけば騎手の女房 [印象に残る作品・作家]

吉永みち子「気がつけば騎手の女房(集英社文庫)」

吉永正人元騎手が亡くなった。
三冠ジョッキーながら地味な印象の騎手だった。
最後方をポツンと行く孤独な姿は寺山修司にも愛されていた。
調教師として活躍中のまだ64歳。残念なニュースだ。

そこで思い出したのがこの本。
大宅ノンフィクション賞を受賞した著者の出世作。
昔読んでけっこう感動した記憶がある。

(かなり昔に読んだから内容はやや曖昧だが…)
女性競馬記者の草分けとも言える著者が男の世界で奮闘し馬と出会い、
やがては先妻を亡くし幼い子どもを抱えた吉永騎手と結婚する、という話。
最後は二人の思い出の馬シービークインの仔ミスターシービーの三冠だ。

しかしあんなにも個性的な三冠馬とそれを乗りこなした個性的な騎手。
こんなコンビは今の競馬界にはもう現われないかもしれない。


老いたるえびのうた [印象に残る作品・作家]

室生犀星も好きな作家のひとりだ。
小説もたくさん書いているが私の中では詩人という印象のほうが強い。

だから最も印象に残る作品として生涯最後の詩をあげておこう。
「老いたるえびのうた」なんともいえない味わいのある詩だと思う。

最後の散文作品「われはうたえどもやぶれかぶれ」も印象深い。
最近になって読んだ「我が愛する詩人の伝記」も心に残る作品だった。
それに触発されて「晩年の父犀星(室生朝子)」もその直後に読んだ。

古本屋で見つけた「我が愛する詩人の伝記」を読んでいる時期に、
たまたま別の古本屋で「晩年の父犀星」が偶然に目にとまったのだった。

こうして導かれるように連鎖していく読書の仕方がけっこう好きだ。


丸山健二 [印象に残る作品・作家]

最近になって読み始めた。現在進行形で好きになりつつある作家だ。
綿矢りさが受賞するまで芥川賞の最年少受賞者だった。

古い作品などは新刊書店で手に入らず古本屋で見つけるたびに買っている。
ずいぶんたまっているのだが少しづつ少しづつ楽しみに読んでいる。

今年は作家生活40周年ということで求龍堂から古い作品が出版された。
再生復活版と名付けられた3冊である。うれしいことだ。
出版を記念して行われたトークショーのことを新聞記事で読んだ。
文壇から距離を置いた孤高の作家らしい以下の発言が印象的だった。

そこらへんの安っぽい小説を読んでいた人に、おれの作品が読めるだろうか。

ずいぶんと不敵な発言だが大いに納得出来る。
たしかに今まで読んだどの作品からも気概のようなものが感じられる。


トリニティからトリニティへ [印象に残る作品・作家]

林京子「長い時間をかけた人間の経験(講談社文芸文庫)」

表題作の他に「トリニティからトリニティへ」を併録。
アメリカのニューメキシコ州のトリニティ・サイトを著者が訪れる話。
1945年7月に世界初の核実験が行われた場所である。
長崎で被爆した著者が半世紀の後グランド・ゼロに立った時の思いは深い。

平和ボケの日本(もちろん私も)。
外国で空爆があっても戦争があっても日本海にミサイルが落ちても、
明確な根拠もないまま、まあ日本(自分)は大丈夫だろうと思ってしまう。

平和であることの有り難さをもう少し自覚しなければ。
戦後61年目、今年も暑い夏がまたやって来ました。


青梅雨 [印象に残る作品・作家]

永井龍男「一個/秋その他(講談社文芸文庫)

短篇小説の名手として私の中でまず名前が思い浮かぶのが永井龍男だ。
名作は数々あるがこの本の中の「青梅雨」が強く印象に残っている。

最初はいきなり悲惨な一家心中の記事風の記述。
その後、その一家の最後の日の様子が会話を中心に語られる。
その淡々とした静かな会話がなんともいい。
うまいもんだなあと著者の力量に感服してしまう出来映えなのだ。

短篇小説はけっこう好きだ。平日にひとつづつ読んでいくのが楽しい。
そして土日や休みの日には長編を一気に読んだりする。
その合間合間にエッセイや随筆などを読む。
私の読書パターンはまずそんなところだ。

今日明日の休みには何を読もうかな。


太宰治 [印象に残る作品・作家]

いつまでも人気の衰えない作家だと思う。

私も本格的に読書にはまりだした中学高校時代によく読んだ。
新潮文庫の太宰治はほぼすべてをその頃に古本屋で買っては読んだものだ。

しかし人気はあるがいいおっさんが太宰が好きだといいづらい気持ちもある。
なんとなく若いうちに読んでおくべきという印象が私には強い。

たぶん今読めば昔と違った印象を受けて面白いと思うのだが実現していない。
そもそも昔に持っていた本はもう私の手元にはない。
(私は就職時に引越代がなくて3000冊近い本を一度処分している)
現在持っているのはちくま文庫の太宰治全集の第1巻のみだ。

それでもいつかもう一度まとめて読み返してみたいと思っている。

ところで昨日は久しぶりにちゃんと布団に寝ていた。
最近ふと気付くと床に倒れて寝ていることが多かったもので…


池袋ウエストゲートパーク [印象に残る作品・作家]

わりとじじむさい作品ばかり読んでいると思われがちだがこんなものも。
若者向けのエンターテイメント作品だっていろいろ読むのである。

池袋西口公園をウエストゲートパークと言うだけでずいぶん印象が変る。
池袋という町やもちろん主人公も生き生きと描かれていて楽しい。
主人公の周辺の脇役たちもみな魅力的だ。テンポのいい語り口も良い。

大人気のシリーズだが現在は4作目を読んでいるところ。
著者の石田衣良は恋愛小説なども人気だがそちらは私にはいまいち…

あー、昨日も飲み過ぎた!


写真のこと・その他 [印象に残る作品・作家]

尾崎一雄「閑な老人(中央公論社)」

この作品集の中に「写真のこと・その他」というそっけない題名の作品がある。
師である志賀直哉の死の前後を巡って、ある写真のエピソードを語ったものである。

その写真が掲載されている。志賀直哉74歳、尾崎一雄57歳の時のもの。
並んだ二人はともに笑顔。無邪気に笑っていても志賀直哉はさすがに風格がある。
尾崎の方は本人がそう書いてるからそう思うのかも知れないが少しだらしない感じ。
それがいかにも偉大な師と不肖の弟子という雰囲気で印象的だ。

作品中にも奈良から追い返された話など、不肖の弟子ぶりが語られている。
しかし出来の悪い子ほどかわいい、そんなニュアンスも感じてしまう。

生涯にわたり師と呼べる人を持てるというのは幸せなことだ。
最近の風潮はそうではないかもしれないが、この作品を読むとそんなことを思う。
写真の印象とともに、妙に心に残る作品だ。


スティーヴン・キング [印象に残る作品・作家]

ミーハーかも知れないがスティーヴン・キングもけっこう読んでいる。
エンターテイメント系の海外作家をあまり読んでいない私には珍しいかも。

本領発揮の恐怖ものから「スタンド・バイ・ミー」など青春っぽいものまで。
比較的に長編が多いが物語にグイグイ引き込んでいく力量はすごいと思う。

映画化も多いがその中ではやはりキューブリックの「シャイニング」が好き。
本人はあまりこの作品を評価していないそうだが。

どうでもいい話だが今日から「やなちゃん週間」が始まります。
と言っても大部分の人はなんのことやら意味がわからないだろうけど。


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